浦島太郎現象「◯◯してはいけない」と言ってはいけない?!

20150901

サイ・ヤング賞投手にも 失投はある

1957年ワールドシリーズ最終戦、9回表、ミルウォーキーブレーブスの 左腕 エース、ウォーレン・スパーン投手はNYヤンキースの強力打線を 抑え込み、 そのまま行けばチームは2対0で勝利を収める寸前だったが、粘るヤンキースの 前に二人の走者を許してしまった 。
そこで迎えのがヤンキース 初の黒人選手エルソン・ハワード。
この外角高め を大得意とする強打者を前に、スパーンが念じたことはただ一つ。
「外角高め には絶対に投げないぞ!」おまけに監督からの伝令は「外角高めには絶対投げるな、ホームランされるぞ」だった。
そして気を取り直して投げた一球、しかしそれは相手ハワードが最も好む外角高めの甘いコースへの失投、見事に逆転3ランとされてしまう。
投げまい投げまいと強く否定するほどそこへ投げてしまう、こういう失敗を「期待された通りの失敗」というのだ。

ゴルフの池ポチャのメカニズム

池越えのショートホール、よく見かける風景。
「池だけは絶対落とさない ぞ」と言いながら、池に打ち込んで綺麗な波紋を作っているお父さん。
実は、打つ前から頭の中のイメージには綺麗な波紋が見えている。
失敗しないと言いながら失敗をイメージしているのだ。
これはトップアスリートでも起こる。
バルセロナ五輪男子マラソンで出走者の多さから給水所付近でのトラブルを心配していた谷口浩美選手は、本番でな かなか給水テーブルに近付けず、最後に無理をしたところを後続の選手に靴を踏まれ転倒という災難に遭った。
リレハンメル冬季五輪ジャンプ団体、あと一本普通に飛べば金メダルだった日本チームの原田雅彦選手は、めったにしない大失敗ジャンプをしてしまう。
直前にドイツの選手が大ジャンプを見せプレッシャーがかかり、失敗しないぞ と力んだ結果と言われている。

禁止令はなぜ魅力的なのか?

こういう「してはいけない」ということをしてしまう失敗は、古くは浦島太 郎も「夕鶴」の主人公よひょうもしている。
古来から、人間はついついこんな 失敗をしてしまうことを知っていたから、こうした物語が出来たのかもしれない。
名付けて浦島太郎現象だ。
失敗してはいけない、と念ずれば失敗してしまう。
塀の節穴に「のぞくな」と張り紙がしてあれば、ついついのぞいてしまう。
こうした現象はどうして生れるのか。
実は、それは私達の中にある「想像力」の為せる業で、そうした禁 止令は実は魅力的なのだ。
薬剤師から後に精神科医として 自己暗示法の端緒を作ったエミール・クーエ は、失敗を退けようという意志の力を高めようとすると、失敗するのではないかという想像力はその二乗の量で増幅すると言った。
そして人は想像力の力に 逆らうことは出来ないのだ。

「失敗しない」ことより「成功する」ことを念じる

冒頭に出てきたウォーレン・スパーン投手、辛くも味方が9回裏に再逆転し てくれたおかげで57年はワールドチャンピオンとなり、本人もこのシーズンの サイ・ヤング賞投手となった 。
そしてそ の名は、今では最も優れた左腕投手に 贈られる賞として残っている。
というのもこの57年を含め、彼はその後、最多勝利を5年連続で獲るなど史 上6位(左腕では1位)の通算363勝を挙げる目覚ましい成果を残したからだ。
その彼が引退後の自伝の中で、もっとも印象に残っているというのが先ほどの痛 恨の失投の場面だという。
その苦い体験を通して、これからは「力づくでも失敗を退けようと思うこ と」をしないぞと誓ったとこの大投手は言っている 。
「失敗しない」と逆の想 像で念ずるのではなく「成功する」と念ずること。
潜在意識を手懐ける大事な ポイントがこんなところにもあるのだ。

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インファクト編集部

中堅・中小企業売上UP研究所by株式会社インファクト【INFACT】です。WEB&ソーシャルメディアマーケティングを得意とし販売促進支援企業として販促コンサルティングからWEB制作・カタログ・パンフレット制作まで企業の売上アップをサポートします。http://www.infact1.co.jp/
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